様々な不調から解放する隔膜のリリース
横隔膜は、呼吸に深く関連する重要な筋肉です。
正しく動かせないと、正しい呼吸ができなくなります。
横隔膜を鍛えることで、呼吸の質を向上させ、循環の促進や代謝を促進する効果があります。
ヨガの先生でも「横隔膜を意識して」と声をかける先生もいるともいます。
実はそれくらい心と体のバランスにかかわっているということです。
ここで紹介する横隔膜は腹部にある呼吸筋として横隔膜ではなく、全身にある大切な核となる横隔膜、つまり隔膜の紹介とその施術の重要性について詳しくわかりやすく解説していきます。
頭蓋施術の質を高める隔膜のリリースについて
通常筋肉の膜は、頭から足まで縦方向に走行しているものですが、
”隔膜”というのは縦方向の膜を横方向に隔てる膜のことです。「横隔膜」が有名な隔膜の1つです。
隔膜に異常が生じていると、頭蓋仙骨リズムに障害が生じ、動きの質が低下します。
なので、頭蓋仙骨療法を行う前に、多くの場合
①骨盤隔膜
②横隔膜
③胸郭入口
④舌骨
⑤後頭下三角(後頭部の付け根部分)
の障害を取り除く施術を行います。
これは頭蓋仙骨リズムの質を高める意味だけではなく、その隔膜付近の臓器の機能向上や、
リンパの流れを改善し、免疫力の向上や呼吸の改善、老廃物の排泄機能を高める役割もあります。
①骨盤隔膜
骨盤隔膜とは、骨盤底筋群などとも呼ばれますが、骨盤内の臓器を、下から支えている膜です。
泌尿器や前立腺の問題、月経困難や生理痛、子宮や卵巣に関するトラブルに関連する膜です。
施術者は恥骨部分と仙骨部分に軽く手を当てて、筋膜が緩むまでごく軽めの圧を加えていきます。
とてもデリケートな部分を触ることになるので、この施術を行う前には必ず一声かけさせていただき、十分な説明もさせていただきます。
②横隔膜
肋骨の下面を被っている膜で、左右の肺や心臓を支える膜です。また呼吸筋としても働きます。
横隔膜は、肺気腫や気管支ぜん息の呼吸器系の問題、過敏性腸症候群や、胃痙攣や肝臓のトラブルなどの内臓の問題、むくみなどの循環の問題に大きく関与しています。
施術者が、背骨の真ん中あたりと1番下の肋骨に手を当ててリリースしていきます。
この施術を行うことで、呼吸が深くなり、「非常に楽になった」と感じられる方が多いです。
③胸郭入口
胸郭入口とは、肋骨の上面を被っている膜です。
西洋医学では胸郭出口と呼ばれています。
この膜が何らかの原因で硬くなったりすることで、肩や手指のしびれ(胸郭出口症候群)、またリンパの流れ問題が生じ、浮腫などになりやすくなります。
施術者は、頸部に近い背骨と胸の上面から鎖骨にかけて軽く手を当てます。
当然ですが女性に実施する際は必ず一声かけさせていただき、十分な説明をさせていただきます。
④舌骨
舌骨は喉仏の上にあるU字の小さな骨です。
喉や首周りを構成する小さな筋肉がたくさん付着しているので、飲み込みや発声、咀嚼の問題に大きく関連しています。
また緊張性頭痛の要因にもなるので、非常に重要な隔膜となります。
またここをリリースすることにより、抑圧していた感情が解放され、たくさん喋り出すことがある様です。
施術者は、首の後ろと前に軽く手を挙げて、喉仏の上をやさしく指でつまむように操作をしてリリースしていきます。
⑤後頭下三角(環椎後頭関節)
後頭部と、首の間にある筋膜です。
脊髄と脳を隔てる大後頭孔の開放にもなります。
ここをリリースすることで、頭痛、片頭痛、子供の過活動(ADHD)、交感神経の過剰な働き、ふらつき等の改善に関与しています。
また他の施術と組み合わせが必要ですが、内因性うつ病の施術としても有効とされています。
施術者は、後頭部と頸部の付け根に軽く指を当てて、軽く牽引するような操作をします。
非常にリラックス効果の高い施術で、行っているうちに高い睡眠に入る方が多くおられます。
特に初回の方や施術開始間もない方では、頭蓋仙骨リズムの質の向上やリラクセーションを促す意味でも、頭蓋仙骨療法の前段階として隔膜リリースを重点的に実施させていただくことがあります。