自律神経と不妊

自律神経が乱れると不妊になる

不妊は、今や高齢夫婦だけではなく、若い世代の夫婦の間でも問題になっている現代病といえます(不妊は病気ではありませんが)。

原因ははっきりしておらず、様々な要因が影響している考えられます。

ただ共通して言えるのが、働きすぎ、睡眠不足、食生活の偏りなどによって起こる自律神経の乱れが少なからず影響しているということです。

当然女性が社会に進出たことで受ける身体的・精神的ストレスも大きく影響していると考えられますし、不妊治療自体が人によっては大きな精神的負担になっている場合があります(私たち夫婦もそうでした)。

私の個人的な経験でも、仕事をやめた途端に妊娠できたということや、不妊治療をやめた途端に奇跡的に妊娠できたという話はよく耳にします。

実際に私たち夫婦も、子供が1人おりますが諦めて休憩しようとした途端に、授かることができました。

自分にとってストレスになっている要因や執着を手放すこと、良い意味で”あきらめること”というのは体の緊張をほぐす効果があり、それが心に安らぎをもたらすことがあります。

心からリラックスできている状態は自律神経が整った状態であり、免疫力や、自然治癒力、生殖力が備わった状態であるといえます。

話はそれましたが、自律神経と女性ホルモンの関係について述べていきます。

自律神経と女性ホルモンの関係

 

女性の不調の原因は?

自律神経は、女性ホルモンを含めて体内の分泌ホルモンの生成と分泌に非常に重要な役割をもたらします。

女性ホルモンの原料は、タンパク質とコレステロールであり、主に動物性のタンパク質、脂質を消化吸収することにより生成されると言われています。

だから消化吸収の役割が体内でしっかり果たせないと、そもそも女性ホルモンの原料を体内に取り入れることができません。

消化吸収を助ける働きと言うのは、主に自律神経のうちの副交感神経です。

ストレスがかかりすぎていて、副交感神経が働かないと、胃腸は働かず脳の活動や生殖機能に必要なホルモンの生成が行われません。

そして生成されたホルモンを分泌するように指令し調整するのも自律神経の役割です。

この「調整」というのがミソで、ホルモン分泌に偏りがあれば、体は不調をきたします。

よく女性ホルモンのバランスの乱れで、生理不順や、頭痛、便秘、また抑うつやイライラなどの精神症状も現れると言われますが、これは一部のホルモンの暴走が原因です。

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。

この2つのホルモンのバランスが乱れると、上記の症状が現れます。

エストロゲン(卵胞ホルモン)の役割

エストロゲンは、別名卵胞ホルモンと言われており、卵巣にある卵胞細胞から分泌されるホルモンで、女性を妊娠するのに適した体にしていきます。

子宮筋の運動性を高めたり、子宮の萎縮を防いだり、子宮粘膜を増殖させる働きがあります。

またエストロゲンは、主に排卵前に分泌されるホルモンであり女性の髪のツヤの状態を良くしたり、肌のハリを良くしたり、女性らしい体つきにするなど、女性の体調を良くする働きがあります。

また女性の精神状態を安定させるのも、このエストロゲンの役割です。

月経周期の中で、いわゆるコンディションが良い状態は、卵胞期つまり、エストロゲンが分泌されている時期になります。

また実はエストロゲンには、それ自体に女性ホルモンのバランスを整える作用もある”調整系のホルモン”とも言えるのです。

プロゲステロン(黄体ホルモン)の役割

プロゲステロンは別名黄体ホルモンと言われており、卵巣の黄体から分泌される女性ホルモンです。

主に妊娠の状態を維持する役割があり、妊娠中期には胎盤からも分泌されます。

受精卵を着床しやすくするために、子宮内膜を厚くしたり、また妊娠した状態を保つために子宮の運動を抑制し、流産や早産等を防ぎます。

また排卵を抑制する作用もあり、妊娠状態を安定的に維持するためにはとても重要です。

妊娠していない状態では、生理前に多く分泌され、便秘や肌荒れ、精神の不安定さPMS (月経前症候群)などのありがたくない状態を引き起こすホルモンだと考えられています。

このエストロゲンと、プロゲステロンのバランスが整って、初めて妊娠しやすい体になります。

実はそこには脳の働きがとても関係しております。

脳の働きの低下で女性ホルモンも乱れる

女性ホルモンは、実は脳の指令を受けて分泌されます。

だからバランスが整うか?乱れるか?というのも脳の状態次第で変わってきます。

実は女性ホルモンを分泌を促す司令塔が、脳幹の脳下垂体と言う部位にあります。

自律神経が乱れていて、脳下垂体ホルモン(卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン)が正しく分泌されないと、卵巣においてのホルモンバランスも乱れてしまいます。

脳下垂体と言うのは、女性ホルモンのみならず、副腎皮質ホルモンや、成長ホルモンの分泌をも左右する役割をします。

だから体においてのすべての体調に関係していると考えていいでしょう。

自律神経を整えるには?

自律神経を整えるのに、整体もいいのですが、食事や、睡眠(生活習慣)や普段の姿勢などもとても重要です。

これらは並行して行うことが最も早く効果を感じるために有効です。

食事

食事の改善というのは、人それぞれ適したものがありますが、妊娠するために大切な事は、体を冷やす食事は避けることでしょう。

冷え自体が自律神経を乱す要因にもなりますし、生殖にかかわる臓器の機能低下をもたらします。

また甘いものや、カフェインなどの刺激物は、自律神経が乱れていたり、抑うつ状態にある人には避けるべき食材といえます。

当然妊娠を望むのであれば、自律神経を乱す要素は極力取り除くべきでしょう。

嗜好品、頑張った自分へのご褒美として、たまに食べる分には良いと思います。

睡眠

女性ホルモンなどの性ホルモンは眠っている間に生成されると言われております。

特に就寝後90分は眠りのゴールデンタイムと言われており、その間は良質な睡眠状態を確保することが重要です。

だから寝る直前のテレビやスマホはご法度です。

また昼夜逆転では脳内の幸せ物質であるセロトニン分泌が低下してしまいます。

セロトニン自体も、他の脳内ホルモンの調整、また自律神経を調整する役割があると言われているので、セロトニンを生成すること分泌する事は、巡り巡って妊娠しやすい体を作ることにつながります。

姿勢と呼吸

普段の日常生活で自律神経を整えることとしてできる事は、姿勢と呼吸を整える事です。

体の軸がしっかりと体の中心を通っていることにより、交感神経と副交感神経のバランスが取れやすい状態を作っています。

軸がずれていると筋肉の緊張が偏ってしまい、体内の血流が滞りそらが脳の血流が滞ってくる原因になりえます。

楽な姿勢で長時間いることや、偏った筋力トレーニングは体の軸のバランスを乱してしまいます。

体の軸が左右にずれている、もしくはちょっと前かがみの姿勢、猫背であることを自覚している人は、体をまっすぐにして、呼吸深くすることをお勧めします。

姿勢に加えて、呼吸を整えることができれば、それ自体に姿勢を正し自律神経を整える効果をもたらします。

整体では何する?


主に施術でできることとしては、乱れた自律神経によって起こった筋肉の硬さを取り除くことができます。

また脳内の下垂体が不妊に関係するホルモンとして重要であるとお話ししましたが、下垂体の内分泌機能を良くする目的として、頭蓋骨の調整を行います。

自律神経が乱れていたり、抑うつ状態にある人は頭蓋骨の動き(頭蓋骨は運動してます)が小さくなっていたり、頭蓋骨のかたち自体に歪みがあることが多いです。

これは頭蓋骨の”圧縮状態”といいます。

頭蓋骨とは実は23個の骨の集合体なのですが一つ一つの骨がギアのような動きをしていますが、施術ではその動きを引き出していくことを目的に調整していきます。

また頭蓋骨と脊椎、骨盤の仙骨の動きを促したり、「どこからこの動きの不完全さが来ているのか」などを評価して原因となる部位の問題を取り除いていきます。