体性感情解放(ソマト・エモーショナルリリース)について

施術中または施術後の感情の解放について

 

頭蓋仙骨療法の施術において、しばしばクライアント様が泣いたり、笑ったり、汗をかいたり、痛みを感じたり、体の特定の場所を動かし始めたり(意図せず)、感情的に涙を流すことがあります。

そしてその後、大きな感情の解放感が得られたり、またライフスタイルが変わったりすることもあります。

これらは、体性感情解放(ソマト・エモーショナルリリース)といって、本人も気づかないうちに、体の奥に潜んでいた外傷(心的なものも含む)のエネルギーが解放される現象になります。

端的に言うと、出生時もしくは子供の頃、もしくは過去に受けた外傷や精神的ショックのエネルギーが、体のどこかに小さくまとめられて蓄えられていたもの(エネルギー・シスト)が、再び表面に浮かび上がって解放されていく現象になります。

特に、胸骨や首の前の部分、喉や声帯の施術中に多いですが、体のどの部分が原因で起こることもあります。

また、特定の体勢をとった時などに起こることもあります。

また、施術後2 〜3日経って時間差でおきることもあります。

ちなみに、この現象は施術者が起こしているものではなくクライアント様自らが起こしている現象になります。

施術者は媒介者であり、必要に応じて促したり、また必要に応じて抑制したりすることもあります。

 

体性感情解放(ソマト・エモーショナルリリース)で期待できるもの

まずソマト・エモーショナルリリースの定義ですが、
頭蓋仙骨療法の第一人者であるジョン・E・アプレジャー博士の書籍によれば、

 

【ソマト・エモーショナルリリースの定義】
ソマト・エモーショナルリリース(SER)とは体に保持され、抑圧され隔離された感情を表現し解決する方法である。
その感情は、患者の非意識によって隔離された方が良いとみなされたものである。
私たちはその体のことを肉体精神(ソマティック・サイキ)として考えることができる。

出典:『ソマト・エモーショナルリリース 体性・感情・解放とその向こう』より、一部意訳して抜粋

 

体性感情解放(ソマト・エモーショナルリリース、以下SER)は原因となった事故や外傷を、また心理的なトラウマに付随する感情の再体験が生じる現象です。

クライアント様がトラウマとなった現象の全容をよく思い出して正確に認識できたとき、
治療者は存在する破壊的な負の感情を根絶し、それを肯定的なエネルギーに転換していくのを助けることが役割です。

SERを体験している時、受けている側は必ずしも心地よい状態とは限りません。

不快な記憶や感情(痛み、恐れ、怒り、苦しみ、恨み)などの過去の体験を想起しており、孤独で苦しい状態にあるかもしれません。

どうしても大きなリリースが起きるときは、そのような不快な状態を伴うこともあります。

ただ、そのような大きな感情の解放が起こった時、痛みからの解放や胸苦しさや、漠然とした不安感などを通り越した大きな解放感が得られることが多いです。

 

エネルギー・シストとは?

【エネルギー・シストの定義】
エネルギー・シストは、トラウマ(身体的外傷、感情的損傷、あらゆる種類の病原性微生物、放射線への過剰露出、有毒物質及び他の原因など)によって患者の体に導入され、残った局部的エネルギーと定義されている。
エネルギー・シストは何らかの原因で、外部から生じたエネルギーが患者の身体によって消散されたために保持される。

出典:『ソマト・エモーショナルリリース 体性・感情・解放とその向こう』より、一部意訳して抜粋

 

つまり、何らかの外傷、心理的ショックによって体に入ってきたエネルギーが局所的に残っているものであり、クライアント様の体から除去しきれず保持されている状態です。

エネルギーシストが形成されるのは、本質的には体の何かの不調を補うためとされています。

私たちは自己調整機能を持っていますが、それが満足に働かないと、体にはそのエネルギーをできるだけ小さくまとめようとする反応があります。

その外傷やトラウマを受けた時点では、外部から入ってきたエネルギーを発散する身体的能力や生理的機能が弱くなっているからです。

つまり、自身の調整力が不十分であるために、一時的に小さなエネルギーとしてまとめられているものがエネルギー・シストです。

シストとは嚢胞という意味であり、わかりやすく言えば、エネルギーを小さくまとめて入れるための袋といった感じでしょうか。

エネルギー・シストは放置されると、痛みや麻痺、動きの制限、内臓の問題、原因不明の頭痛やめまいなどとして、様々な組織を弱らせていく恐れがあります。

また、経絡やチャクラといったエネルギーの経路も阻害し、不調を生じさせることがあります。

 

組織の記憶とは?

※「組織」とは体の組織(部分)を指します。

”過去の外傷や精神的ショックを、体の一部が記憶のように蓄える”という考え方が理解しにくい方もいると思います。

確かに西洋医学の世界では、筋肉や内臓に記憶が蓄積されるとは考えておりません。

あくまで記憶の役割は大脳の側頭葉や前頭葉などの中枢神経が担っているとされています。

ただ、オステオパシーや頭蓋仙骨療法の臨床上で目撃されるものとして、筋肉、筋膜、骨、歯、その他の結合組織や内臓などに記憶が貯蔵されているという仮説があります。

仮説というより、現にそのようなことが起きている報告はいくつもあります。

そもそも原始仏教の世界でも怒りや悲しみの感情は、突き詰めると体の一部(例えば足首や胸の周りの皮膚の表面)などの振動(波動)として無意識下で表出されており、

それらに反応せず客観的に観察し続けることにより、振動は消失し(厳密には変化)苦しみも消え去るとされています。

それくらい感情と体の感覚は同一のようなものです。

ただ、体の組織の記憶というのは、神経学的に知られている潜在的な記憶と似たものがあります。

肉体では記憶しているけど、本人の意識には上ってこない可能性が高いということです。

 

1970年代に18年以上にわたって、NASAの下で働いていたある物理学者による声明があります。

「テープや音と一緒に少しは複雑であるが、やはり単純な分子のプラスチックテープに過ぎないビデオにシンフォニー(交響曲)が記憶できるのであれば、筋肉や肝臓などの複雑なものが経験と、それに伴う感情の記憶を貯蔵できるというのは、確かに道理にかなっているように見える」

 

つまり、筋膜や内臓、骨や歯は、トラウマ経験による感情的エネルギーを蓄えれることは十分に考えられるということです。

 

当院のソマト・エモーショナルリリース事例

ひだまりケアの臨床で経験したSERの一部を紹介します。

もともと、睡眠不足と食欲不振、軽い鬱症状で施術を開始した30代の女性。

5回目くらいの施術で自然に眠れるようになり、食欲も落ち着いてきたため、その後は1ヵ月に1回の介入で調整していきました。

その間もたまに軽い偏頭痛や感情の起伏はあるものの、睡眠状態や食欲などライフスタイルは十分に維持できていました。

開始から2年目のある施術で横隔膜と胸郭のリリースを実施していた際に、急に背中を浮かせ左右に動かし始めて、また悲しみがこみ上げてきたようであり泣き出されることがありました。

その際に声掛けさせていただき、しっかりとお話を伺うと、やはり幼少期に他の兄弟に比べてご両親から手をかけてもらえなかったこと、家族から暴力を受けて背中に傷を負ったことなどを話していただけました。

個人情報に関わるので、これ以上詳しい話の内容は書けませんが、人はみんな幸せそうな表情をしていても、想像絶する苦しみを抱えながらも必死で生きている。

そのように感じました。

時間の許す限り、お話を聞かせていただき、感情を放出できるように横隔膜上と背中に手を当てさせていただきました。
体の緊張が落ち着くまでその状態を保持しました。

ちなみに、この現象は私が意図的に起こしたものではなく、お客様自身の力で起こした現象であり、私は施術中にそれを促すのが役割です。

その後ですが、離婚、再婚を経て、新たなライフステージを楽しんでいるとの連絡をいただきました。

 

【体性感情解放について詳しく書いてある書籍】

『J.E.アプレジャー もうひとりのあなた』 仲井 光二D.C.訳

『ソマト・エモーショナルリリース 体性・感情・解放とその向こう』ジョン・E・アプレジャー (専門職向け)

 

【頭蓋仙骨療法についての記事はコチラ】

頭蓋仙骨療法について

 

【安城の整体ひだまりケアより、読書様へ】

このコラムは安城の整体、「自律神経専門整体ひだまりケア」のコラムです。

安城市や刈谷市、知立市、豊田市など西三河エリアで自律神経の不調に特化した出張整体を提供しています。

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