自然な眠りを得るための5つの工夫【不眠は準備不足!】
自律神経は、内臓の働きや代謝、体温調整などの身体機能をコントロールしている神経です。
人の意思とは関係なく、毎日24時間働き続けています。
自律神経には、昼間や活動している時に活発となる「交感神経」と、夜間やリラックス中に活発となる「副交感神経」の2種類があります。
この2種類の神経のバランスにより、心身の調子が変化します。
睡眠と自律神経は相互作用の関係にあり、不眠症の方は夜でも副交感神経が優位にならず、交感神経が優位のままなことがあります。
自律神経の乱れは、ストレスや生活習慣の乱れ、季節の変化、更年期などによって引き起こされることがあります。
睡眠の質を高めるためには、生活習慣を改善し日中に交感神経を活動させ、軽い運動やストレッチを行うことが大切です。
この記事では、それとは別に眠りやすいカラダになるための具体的な工夫を5つに分けて紹介します。
眠りやすい体とは、
①布団に入っても目がさえて困らない体
②朝起きたときに、だるさが残っていない体
のことです。
自然な眠りを得る工夫① →寝室の照明をオレンジ色にする
寝室の照明をオレンジ色にすることは、睡眠に良い影響を与えることがあります。
九州大学大学院の安河内朗教授の実験によれば、電球色のオレンジの光を浴びると、睡眠の質をよくするホルモン「メラトニン」の分泌がスムーズになります。
そのため、寝室ではオレンジ色の光を使うことをおすすめします。
ただし、作業をする場合は昼光色の青白い光が必要です。
少し詳しく説明します。
光の加減は人のメンタルに大きく影響します。
結論から言ってしまうと、自然な眠りを得たい場合、部屋の照明をオレンジ色の光に変更することをお勧めします。
その理由は、、、
人が起きている時間、太陽の光は無色透明のとても明るい光ですね。
無色透明の光は、人が起きている時間、つまり人が活動している時間に存在します。
だから無色透明の光は、あなたの心と体そして脳を興奮させる作用があるのです。
もし、人が寝る直前の時間に無色透明の光を浴び続けていたら、
眠る直前まで、脳は活発に興奮し続けていることになります。
つまり、ただでさえ眠れない人が布団に入る直前まで無色透明の光を浴び続けてしまっているとしたら、
不眠は改善するどころか、夜の興奮状態が続き、さらにひどくなる可能性があります。
古来より人類は朝太陽が昇って目を覚まし、日没になる頃に眠くなる生活を送ってきました。
また照明が発明されるまでは、夜は焚き火で明かりを作っていました。
夕日の光、焚き火の光はオレンジ色です。
つまりオレンジ色の光でリラックスするように遺伝子が人に組み込まれていると考えられます。
オレンジの光をうまく活用することで、「眠る準備」をしていきましょう。
●●自然な眠りを得る工夫①のまとめ●●
照明をオレンジ色の光にすることによって、体はリラックスして自然に眠くなりやすくなります。
自然な眠りを得る工夫② →日中の興奮を避ける
本来、日中は興奮して過ごすのが好ましいのですが、不眠の人は日中も過度に興奮することは避けたいところです。
人は好奇心旺盛であり、強い刺激を求めて止まないものです。
自律神経が乱れている人は、
テレビの中で起きている出来事や、他人に起きた出来事でも自分との区別がつかなくなるものです。
ホラー画像や暴力的な映画や格闘技の中継なども、
自分は「他人に起こっていること」と意識していても、
脳内は「自分に起こっていること」と同じように処理します。つまり脳が興奮します。
その結果、過剰に脳を興奮させてしまって、それが夜まで続いてしまうことがあります。
また日中のあらゆる強い刺激にも注意が必要です。
例えばカフェインや激辛カレーなど香辛料の多いものもこれにあたります。
睡眠に悩んでる人は日中の強い興奮を夜まで持ち越してしまうため、「眠れない」と自覚しているうちは、これらの摂取は控えた方が良いでしょう。
また、過剰な興奮を引き起こす物質は、ある種の依存物質です。
依存物質に執着すると、”やめたくてもやめられない状態”、つまり悪習の虜になってしまいます。
もし自分に心当たりがあれば、
改善までの間、一時的だと割り切って、「きっぱりとやめる」という選択をするのも良いかもしれません。
●●自然な眠りを得る工夫②のまとめ●●
昼間に強い刺激を与えると、夜までずるずる持ち越します。
睡眠が改善されるまではきっぱりと控えましょう。
自然な眠りを得る工夫③ →日光を浴びる
良質な睡眠を得たい場合、日光をしっかり浴びることもとても重要なことです。
昼間は無色透明の光をしっかりと浴びて、心と体そして脳を適度に興奮させることが大切です。
人間の体には、体内時計という機能が備わっており、「光」がそれを制御するカギになります。
人は太陽の光を浴びてから約12時間から15時間後に眠くなります。
人は太陽の光を浴びると脳内ホルモンであるセロトニンが分泌されやすくなります。
セロトニンは日没になる頃にメラトニンという睡眠ホルモンに変わります。
私たちが自然に眠気を催すのはメラトニンのおかげです。
よって明るいうちはしっかりと日光を浴びないと、夜自然な眠気が来なくなり睡眠の質が落ちてしまうのです。
「雨の日は?曇りの日は?」という疑問が聞こえてきそうですが、
少ない光では太陽の光を浴びる効果が全くないと思わないでください。
室内でガラス越しに太陽の光を浴びるより、たとえ少ない光であっても外に出て太陽の光を浴びることの方が効果的です。
これは日陰でも全然構いません。
外で太陽の光を浴びる事は、季節の変化を感じたり外の空気を吸うことで五感を適切に興奮させることにもつながります。
●●自然な眠りを得る工夫①③のまとめ●●
日光をしっかり浴びると、夜になると脳内に睡眠ホルモンがしっかりと出て眠くなります。
自然な眠りを得る工夫④ →部屋にテレビを置かない
良質な睡眠には環境が大切です。
環境を整えることで、人の体は無意識に寝る準備に入ります。
だから眠る部屋の環境を変えることが、自然な睡眠をとるうえでたいせつになります。
もしあなたが慢性的に不眠症に陥っていたとしたら、
「この部屋は眠る場所である」
ということを体に覚えさせる必要があります。
テレビの光は脳を興奮させてしまう要素ですが、寝室にテレビをおかない方が良い理由はそればかりではありません。
テレビを見ること自体、脳を興奮させる行為であり体が起きていないとできない活動です。
本来眠る部屋で脳を興奮させる行為は、脳が寝室を「眠る場所」だと認識するのを阻害します。
心理学の専門用語で「アンカーリング」というものあります。
それは人間の感覚、五感が特定の感情や反応を誘発する習性のことです。
普段から寝る前に寝室でテレビを見ている人は、
寝室に入った瞬間に体がそこを「寝室だ」と認識せずに、「眠くなる」反応を起こしにくくする可能性があります。
逆に言えば、
部屋にテレビがない状態で主に眠ったりリラックスに専念する部屋として使っていたとしたら、
部屋に入った瞬間から体は眠り入る準備に入ります。
どうしても夜のテレビが見たい人は、別の部屋で見ることをお勧めします。
同じ理由からスマートフォンやゲーム機なども「眠るための部屋」に持ち込む事はお勧めしません。
●●自然な眠りを得る工夫①のまとめ●●
テレビのある部屋は、そこを「寝室」と体が認めてくれません。
自然な眠りを得る工夫⑤ →眠る90分前までに浴槽につかって入浴する
良質な睡眠を自然に得たい場合は、布団に入ったときに深部体温が十分に下がっていく必要があります。
足から体温が放散されて、体温が下がっていくときに自然な眠気が起きます。
体が興奮して体温が高まったり、冷え性で体温が下がりきっていたりすると、この自然な体温の降下が起きずになかなか眠りにつくことができません。
そのために必要な準備として、お風呂は浴槽にしっかりつかり、体温を温めておくことが大切です。
それを布団に入る90分前までに済ませておくと、眠る時間に深部体温が下がり始めます。
仮に夜22時に寝たい場合は、20時30分までに湯船にしっかり使って体を温めておくと、10時ごろにちょうど体が「眠たい」というモードに入ります。
お風呂の温度は40℃前後で、15分から20分程度が深部体温をしっかり上がるために理想です。
面倒で浴槽につかることができない場合、もしくは仕事が忙しくて夜の時間に余裕がない場合は、
寝る直前に首と背中を中心に軽くシャワーを浴びること、もしくは足湯だけでも何もしないよりは有効です。
●●自然な睡眠を得る工夫⑤のまとめ●●
眠る90分前にお風呂で体を温めておくと、深部体温が下がって自然な睡眠が得られやすくなる。