【蝶形骨】頭蓋仙骨療法でキーポイントとなる蝶形骨の調整について
蝶形骨の調整について ~なぜ施術でこめかみを触るのか?~
施術をしていて
「こめかみに触るのは何故ですか?」
と質問をされることがあります。
(クライアントに対する私の説明不足ですね…)
こめかみに触れるのは頭蓋骨の一部である蝶形骨を調整するための重要な施術です。
この記事では頭蓋仙骨療法の中でなぜ蝶形骨が重要なのかについて説明していきます。
※ちなみに「頭蓋仙骨療法」と「頭蓋オステオパシー」は厳密には別物なのですが、
ここでは便宜上として世間で使われている「頭蓋仙骨療法」と記していきます。
蝶形骨と仙骨
(画像出典:Wikipedia)
当院では様々な不調を改善に導く、自律神経に特化した施術を行っています。
中でもオステオパシーの一部である頭蓋仙骨療法は軸といえる施術です。
とくに蝶形骨の動きは、その軸となる施術の中でも重要な位置づけになります。
それを説明するには頭蓋仙骨リズムの理解が必要になります。
一般的に頭蓋仙骨療法や頭蓋オステオパシーのプロセスとして、
骨盤の仙骨の動きを調整して、さらに頭蓋骨の整復と動き調整を図っていきます。
それにより脳脊髄液、血流、リンパの流れの改善に働きかけることで、体に対して強い調整力を与えます。
さらに頭蓋仙骨療法での頭蓋領域ではキーポイントとなる骨があり、それが蝶形骨といわれる頭蓋骨の中心部にある骨です。
なぜなら、この蝶形骨の動きは仙骨の動きと連動しており、共に頭蓋仙骨リズムをつくり出しています。
頭蓋仙骨療法の適用は、以前の記事にも書きました。
(参照→ 自律神経を整えるための頭蓋骨の調整 )
なぜ蝶形骨が重要なのか?その3つのポイント
①蝶形骨は仙骨と共に頭蓋仙骨リズムを作る重要部分
頭蓋仙骨療法の重要評価項目である頭蓋仙骨リズムは、頭蓋骨と仙骨の運動の連動です。
したがって、施術前に施術者はクライアントの仙骨部や頭部に触れることで、
この動きをしっかり感じ聞き取ります。
体の声にしっかりと耳を傾けることから、傾聴と言われる評価です。
そして、この頭蓋仙骨運動の頭の動きを作り出す重要な軸が、
蝶形骨と後頭骨から構成される蝶形後頭関節(SBS)になります。
少し大げさな言い方をすれば、体内の生命力の流れの原点に携わるものです。
だから、蝶形骨はこの原点ともいえる重要な骨になります。
※頭蓋仙骨リズムの原動力は脳内の脈絡叢で作られる脳脊髄液の生成と吸収の圧力の変動や、硬膜の張力の変化などになります。
その原動力が蝶形後頭関節(SBS)を動かし頭蓋仙骨リズムの動きを構成します。
②蝶形骨のトルコ鞍に下垂体が収まっている
(画像出典:Wikipedia)
蝶形骨の中にはトルコ鞍といわれる凹みのような場所があります。
この凹みは何のためにあるかと言うと、
脳下垂体を収める”入れ物”の役割です。
また蝶形骨にはトルコ鞍に緊張を伝える膜が付着しており、
蝶形骨の動きになんらかの支障が生じると、
この下垂体に動きの伝達が伝わりにくくなり影響を与えます。
脳下垂体の役割は、自律神経正常に働かせる、
身体の恒常性(ホメオスタシス)を保つための重要なホルモン分泌の役割があります。
つまり下垂体に何らかの機能障害が生じると、骨の成長が止まったり、
末端肥大症、生理不順、不妊、産後うつ、子供のおねしょ、など様々な体の不調につながる恐れがあります。
だから、下垂体がおさまっている蝶形骨は重要なキーポイントといえます。
下垂体から分泌されるホルモン
前葉:
副腎皮質ホルモン、成長ホルモン、プロラクチン、黄体刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン中葉:
メラニン細胞刺激ホルモン後葉:
抗利尿ホルモン、オキシトシン(消化管や子宮の収縮)
③蝶形骨は多くの神経や血管の通り道になっている
また、蝶形骨には多くの血管や神経の通り道があり、様々な知覚機能に関連しているといわれています。
上眼窩裂には眼神経(三叉神経)、動眼神経、滑車神経などが通っており、
眼球の知覚や眼球運動の正常化に関連、ここが障害されると斜視になったりします。
視神経管には視神経と眼動脈が通っており、障害されると視覚障害に、
また正円孔、卵円孔にはそれぞれ上顎神経と下顎神経が通っており、咀嚼運動や舌の知覚を司っています。
だから、蝶形骨を整復し動きの調整をした後に、
「目の前が明るくなったような気がする」
「鼻が詰まってたけど通りが良くなった」
と感想を言われる方がいます。
これは蝶形骨に働きかけることで、神経管の緊張が緩んだり、
また蝶形骨洞の排液が行われたことにより、副鼻腔炎による排液の詰まりが解消されたことが影響として考えられます。
当院で行っている蝶形骨の施術
①蝶形骨の全般的な動きの促し
こめかみの部分から軽くホールドして、蝶形骨を感じます。
そして蝶形骨大翼を通じて、各方向に動かします。
この動きで蝶形骨が動かしにくい方向(行きにくい方向)を見つけます。
実はこのプロセスは蝶形骨の検査と施術を兼ねています。
というのは、この検査だけで蝶形骨の可動域が改善することが十分に期待できます。
②蝶形骨の鞍隔膜部のリリース
こめかみ部分に軽く触れて、前方(仰向けに寝ている状態では天井方向)に軽く引きます。
脳下垂体と付着している鞍隔膜の緊張を緩めます。
こめかみに触れていますが、蝶形骨のトルコ鞍に対するアプローチです。
またこの施術により、蝶形骨と後頭骨からなる蝶形後頭結合(SBS)のリリースができ、
蝶形後頭結合(SBS)の圧縮による蝶形骨の動きの制限を解放していきます。
ここに触れることにより、自律神経の大きな役割を担う下垂体に働きかけ、
また蝶形骨の可動域の改善に伴い、仙骨の動きの改善にも影響を及ぼします。
③蝶形骨体部と大翼部の整復
こめかみ(蝶形骨の大翼部)を触りながら、口の中に指を入れて上顎に触れます。
これは上顎骨を介して蝶形骨の中心部(蝶形骨体部)に働きかける施術になります。
これは、三叉神経や視神経のトラブルの解消や頭蓋の動きに対して強力な調整を及ぼします。
また蝶形骨に最もダイレクトに影響を与えやすい施術であることから、
硬膜のテンションを通じて仙骨への働きかけにもなり、頭蓋仙骨リズムの改善に大きく影響を与えます。
※行う前にはしっかりと説明するべき施術であり、これを行うときは必ず指サックやゴム手袋を装着します。
※あくまで海外および国内のテキストやセミナーで正式に教えられていることとしてこの記事で紹介しております。すべての人に同じやり方で行っているわけではありません。
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