「この苦しみは永遠に続く」それは脳と自律神経が作り出す錯覚かもしれません
うつなどのメンタル不調の最もつらいことのひとつが、
「この苦しみが永遠に続くかもしれない」
という感覚です。
どれだけ時間が過ぎても、気持ちは晴れず、日常のささやかな喜びすら遠く感じる。
笑うことができず、未来も描けず、
「自分はもう戻れないのでは」
と錯覚するようになります。
けれど、
その感覚は“事実”ではなく、脳の誤作動によって生まれた錯覚なのです。
“誤作動”は大袈裟な表現かもしれませんが、
一般論として、どんな思い込みや信念も、脳が作り出した創作なのです。
その創作に偏りが生じると、今の状態が一生変わらないと感じることがあります。
そしてその背景には、自律神経の乱れと腸内環境の不調が密接に関係しています。
錯覚を生む脳の働きと神経伝達物質
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うつのとき、脳内でセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質が減少します。
セロトニンは心の安定、ドーパミンは意欲や達成感を司る物質です。
これらが不足すると、喜びや安心が感じにくくなり、感情のバランスが大きく崩れます。
さらに、前頭葉などの脳領域の働きも低下しやすく、未来を想像したり「今は一時的な不調だ」と客観視する力が鈍くなります。
その結果、「今の苦しみ=未来のすべて」と認識してしまうのです。
以上、このコラムで訴えたいことはこれだけです。
”「この苦しみは永遠に続く」という感覚は脳がつくり出す錯覚である”
と知っていただくことが一番の目的です。
※ここからは、その錯覚から脱出する方法をいくつか紹介しますが、あくまでおまけの文章です。
自律神経の乱れが、脳の働きと感情を揺らす
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自律神経は、体温・血圧・呼吸・消化などを無意識下で調整している生命維持システムです。
うつの状態ではこのバランスが崩れ、交感神経(緊張・ストレス)ばかりが働き、副交感神経(休息・回復)が機能しづらくなる状態に陥ります。
この状態では呼吸が浅くなり、筋肉がこわばり、血流も悪化します。
脳への酸素や栄養が届かず神経伝達物質の生成そのものが妨げられるのです。
これが「もう治らない」という脳の誤作動の引き起こします。
そこで重要になるのが呼吸法
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つらいとき、頭が重く感じるとき、言葉がうまく浮かばないとき。
そんな時、呼吸の仕方ひとつで心も脳も少しずつ動き始めることがあります。
深くゆっくり息を吸うと、体にたくさんの酸素が入ってきます。
その酸素は血液に乗って脳に届き、固まったような思考をほぐす力になります。
まるで止まっていた川の流れが少しずつ動き出すように。
呼吸は自律神経にも関係しています。
浅く早い呼吸は、体を緊張させ、心をざわつかせます。
けれど、深くゆっくり吐いていくと、安心を司る「副交感神経」が働き出して、心と体が穏やかになっていきます。
そして何より、呼吸に意識を向ける時間は、「今ここ」に戻ってくる時間です。
過去でも未来でもなく、目の前の一呼吸に集中することで、少しだけ頭の重さが軽くなるかもしれません。
大きな変化はすぐに来ないかもしれません。
でも、呼吸はいつでも使える手段です。
誰にも見られず、道具もいらず、静かに自分を整える一歩。
あなたのペースで、少しずつ始めてみてください。
「冷え」も感情を鈍らせる
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もうひとつ注目したいのが、体温との関係です。
冷えによって血流が悪くなると、脳や神経の働きがさらに鈍くなり、疲労感・感情の鈍さ・無気力感が強まりやすくなります。
あと風邪をひきやすくもなるし、その他感染症への抵抗力も弱くなります。
精神面では、冷えによって思考もネガティブになりやすくなります。
・温かい食事や飲み物
・湯船にゆったり浸かる習慣
・下半身を冷やさない服装
といった冷え対策は、血流改善だけでなく、情緒の安定にも役立つセルフケアの一つです。
見落とされがちな「腸」の役割
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近年の研究では、腸内環境がメンタルヘルスに深く関係していることが分かってきています。
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、セロトニンの約90%が腸でつくられているのです。
腸内環境が乱れると、セロトニンの合成が滞り、脳内の神経伝達物質もバランスを崩します。
また、腸と脳をつなぐ「腸脳相関(gut-brain axis)」というネットワークによって、腸の不調が直接脳に影響を与えることもあります。
食生活で腸と心を整えるアプローチ
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うつ症状のケアには、脳や神経に加えて、腸内環境を整える食事も不可欠です。
• 食物繊維(野菜・海藻・全粒穀物)
腸内細菌のバランスを整え、有害菌の増殖を抑えます。
• 発酵食品(納豆・味噌・キムチ・ヨーグルトなど)
善玉菌を増やし、セロトニン合成を助けます。
• 加工食品や過剰な糖分を控える
腸内フローラが乱れ、炎症の原因になりやすくなります。
また、食事のリズム(朝食を抜かず、同じ時間に食べる)も自律神経の安定化に効果があります。
※でもこれらを盲目的に厳守する必要はないです。人生には楽しみも必要ですしバランスが大切です。
「読書」という思考の換気
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精神的な息苦しさに囚われているときこそ、本との対話が心を広げるきっかけになります。
例えば心理や哲学の本で「視点の広がり」を得ることができたり、エッセイや小説で「他者の感情」に触れて深い共感にいやされたり、
自分の思考とは違う考えに出会うことで、感情の閉塞をゆるめることになります。
読書は、脳内に滞ってる思考の換気扇のようなもの。
思考の中に空気を通し、“この状態がすべてではない”と気づくきっかけになるツールでもあるのです。
苦しみは、あなたのせいじゃない
自律神経の不調やうつの症状には波があります。
良い日も悪い日もある。
長続きしているのは、自分の思考や人格に問題があるからと当事者は考えるかもしれません。
「気の持ちよう」や「意志の弱さ」で心の不調が続いているわけではありません。
それは脳、自律神経、そして腸の誤作動が絡み合い、「調整が必要です」と教えてくれている状態です。
深い呼吸。温かい食事。からだを冷やさないこと。
心地よい読書の時間。
そして腸内環境の見直し——これらは全て、「錯覚をゆるやかにほどいていく方法」です。
この苦しみは永遠ではありません。
その感覚こそが、いま脳が発しているノイズなのです。
そしてそのノイズには、必ず出口があります。
あなたの中には、「整える力」が、静かに、確かに存在しているのです。
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