この世の苦しみ「四苦八苦」を解消する考え方
自律神経のバランスを保ち、気持ちよく毎日を過ごすためには、心の健康を無視することはできません。
「マインドフルネス」という言葉は、すでに社会に広く浸透しています。
しかし、実際に日常生活に取り入れるのは、まだ難しいと感じている人が多いのが現状です。
マインドフルネスと聞くと、瞑想をしたり、ご飯をじっくり味わったり、歯磨きに集中したり、
そんなイメージが先行しがちです。
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もちろんそれも一つの実践ですが、本質はもっと深いところにありシンプルに捉えることもできます。
そもそも「マインドフル」とは、直訳すると「心が満たされている」という意味になりますが、ここで言う「満たされている」とは、幸福感に包まれている状態ではありません。
それは、注意深く、気づきのある状態を指します。
つまり、目の前の物事に意識が向けられている状態です。
この状態を保つことは、メンタルヘルスにも良い影響を与え、自律神経のバランスを整えるための重要な鍵になります。
では、なぜこの「今、ここ」に意識を向けることが、苦しみの解消につながるのでしょうか。
その背景を、仏教の「四苦八苦」から紐解いて私なりに解説させていただきます。
① この世の苦しみ「四苦八苦」とは
人が生きていく中で避けることができない苦しみを、仏教では「四苦八苦」と呼びます。
これは、人生における根源的な苦しみを、初期仏教の視点から体系的に整理したものです。
まず「四苦」とは、次の4つの苦しみです。
・生苦(しょうく):
生まれること自体の苦しみ。生まれた瞬間から、人は環境や身体の制約を受け、思い通りにならない現実に直面します。
・老苦(ろうく):
年を重ねることで身体が衰え、心も不安定になっていく苦しみ。若さや健康を失うことへの恐れも含まれます。
・病苦(びょうく):
病気による痛みや不安、身体の不自由さなど、健康を損なうことによる苦しみ。
・死苦(しく):
死への恐怖、存在の終わりに対する不安、大切な人との別れの苦しみ。
これらは、誰もが避けることのできない「生きることの宿命」と言えます。
次に「八苦」とは、四苦に加えてさらに4つの苦しみを加えたものです。
・愛別離苦(あいべつりく):
愛する人との別れの苦しみ。死別、離婚、疎遠など。
・怨憎会苦(おんぞうえく):
嫌いな人や苦手な人と関わらなければならない苦しみ。職場や家庭など、避けられない人間関係が原因になることもあります。
・求不得苦(ぐふとくく):
欲しいものが手に入らない、願いが叶わないことによる苦しみ。努力しても報われない、期待が裏切られるなどの経験。
・五蘊盛苦(ごうんじょうく):
身体や心の働きが暴走し、感情や思考に振り回される苦しみ。怒りや不安、嫉妬など、自分の内側から湧き上がる苦しみ。
このように、四苦八苦は「身体的な苦しみ」と「心の苦しみ」の両方を含んでおり、人生のあらゆる場面に現れるものと初期仏教では説明されます。
結局8つだから、八苦でいいじゃん!とツッコミたくなりますが、、。
② 四苦八苦は避けられるのか?
結論から言えば、四苦八苦は基本的に避けることができません。
なぜなら、これらの苦しみは「人間であること」そのものに根ざしているからです。
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すぐに感情的になる人、情に熱い人を「人間臭い」と言いますよね。
それは人として魅力的な部分にうつることもありますが、同時に苦しみの原因にもなります。
どれだけ健康に気をつけても、老いや病気は必ず訪れます。
どれだけ人間関係を整えても、別れや対立は避けられません。
どれだけ努力しても、すべての願いが叶うわけではありません。
そして、感情や思考は常に揺れ動き、心を乱します。
つまり、四苦八苦は「個人の失敗」や「環境の問題」ではなく、生きている限り誰もが経験する苦しみなのです。
ただし、これらの苦しみにどう向き合うかによって、心の状態は大きく変わります。
③ 四苦八苦は避けられないけど消す方法がある
四苦八苦は、人生に組み込まれた苦しみであり、完全に避けることはできません。
しかし、それに巻き込まれずに生きる方法はあります。
それは2600年前、お釈迦様が6年間の苦行を重ねても悟りに至らず、菩提樹の下で静かに瞑想することで発見した「気づきの力」です。
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この智慧は、現代において「マインドフルネス」として再構成され、アメリカを中心に広まりました。
「今、ここ」に意識を向けることで、苦しみとの関係性が変わるのです。
過去や未来、他人に心を奪われると、苦しみは増幅します。
しかし、今この瞬間の自分に意識を戻すことで、苦しみは静かに輪郭を失っていきます。
苦しみを否定するのではなく、観察し、距離を取ることで心の反応が変わり、穏やかさが生まれるのです。
④ 99%の人の心は眠っている
多くの人の心は「今」にありません。(↑99%は便宜上わかりやすくするための表現です、、)
たとえば、
「昨日あんなこと言っちゃったけど、悪く思われてないかな…」
「今のままじゃ将来が不安だ…」
また、「ここ」にもありません。
「ここ」とはただこの場所を指すだけでなく「自分」と置き換えることもでき、「ここに無い状態」とは「他人のことで悩んでいる状態」を指します。
たとえば、
「彼女に嫌われたらどうしよう…」
「私の子供は全然言うことを聞かない…」
「会社のみんなに変な風に思われるだろうな…」
このような思考に囚われているとき、人の心は「今、ここ」にいない状態です。
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料理をしているとき、歯を磨いているとき、家族と楽しい時間を過ごしているとき、
そんな瞬間にも、心が不在になっていることはありませんか?
それはまさに、心が眠っている状態です。
つまり、マインドフルの反対である「マインドレス」な状態です。
心が「今、ここ」にいないとき、苦しみは静かに忍び寄ってきます。
⑤ 「今、ここ」とは
「今、ここ」とは、過去でも未来でもなく、この瞬間の自分自身に意識を向けることです。
それは、時間や場所のことではなく、心の居場所のこと。
心が過去の後悔や未来の不安に囚われているとき、人は苦しみの中にいます。
しかし、心が「今、ここ」にあるとき、苦しみは静かに遠ざかっていきます。
日常生活での実践方法
「今、ここ」に戻るための方法は、特別な技術ではありません。
むしろ、日常の中にこそ実践の場があります。
・ 歯を磨くとき、ブラシの感触に意識を向けてみる
・食事のとき、味や香りを丁寧に感じてみる
・ 呼吸に意識を向けて、吸う息と吐く息を数えてみる
・家族の声や笑顔に、心から耳を傾けてみる
・スマホを見ているときに「私は今スマホを見ている」と心で唱えてみる
こうした瞬間に、心が「今、ここ」に戻ってくる感覚を、少しずつ育てていくのです。
「不安」や「雑念」が浮かんできたらこうしよう
人が深く悩んでいる時、苦しんでいるとき、頭の中には不安や否定的な思考が次々と浮かんできます。
「また今日も何もできなかった…」
「このままじゃダメだ…」
そんな思考が浮かんだときは、まずそれを否定せずに受け止めてください。
そして、こう心の中でつぶやいてみましょう。
「今、私は不安を感じている。だけど、それに巻き込まれなくてもいい。」
そのあと、呼吸に意識を向けてみてください。
吸う息、吐く息
そのリズムに集中することで、思考の嵐から少し距離を取ることができます。
雑念が浮かんでも構いません。
それに気づいたら、また呼吸に戻る。
それだけでいいのです。
「こんなことで、悩みが消えるわけないじゃん!!」
と思えるような実践の繰り返しが、徐々に体に効いてきます。
心では捉えられなくても、体は確実に変化を起こし、やがて心も変えていきます。
心が「今、ここ」にありそのまま観察するとき、苦しみは少しずつ輪郭を失い、静かに溶けていきます。
これは、古代インドのパーリ語で「アニッチャ」
日本の仏教では「諸行無常」の概念として説明されます。
それは、深い悩みやうつの苦しみをすぐに消す魔法ではありません。
しかし、心の居場所を変えることで、苦しみとの関係性が変わるのです。
その小さな変化が、やがて大きな回復への一歩になります。
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