疲労対策コラム② 疲労は誤魔化せる
疲労対策コラム前回記事
疲労を生み出すストレス
疲労の元は乳酸ではない!
私が学生の頃、疲労のバロメーターとして”乳酸”というものがありました。
「疲労の原因は筋肉に乳酸が蓄積していることである」
という説が有力でした。
これを学校の授業で習った人もいると思います。
しかし今ではその説は否定されており、疲労の原因は乳酸ではないことが明らかになっています。
ではなぜ疲労の原因が乳酸だったと言われていたのでしょうか?
それはただ単に、かつて行われていた研究の結論の出し方がやや杜撰だったからです。
被験者に100メートルを全力ダッシュさせて、
その後血液検査したところ決まって乳酸が見つかったと言うだけです。
それだけの理由で、
「疲労の原因は乳酸だ」
と短絡的に決めてしまったのです。
疲労状態で血中に乳酸が増えた事は事実ですが、
それ自体が、
乳酸が疲労感をもたらしたということにはなりません。
では、現在は何を持って疲労のバロメーターとされているか?
と言えば、それは自律神経です。
疲労が溜まると顕著に現れる現象とは、脈や呼吸が速くなったりする自律神経の乱れであり、
そこで手っ取り早く解析しやすい心拍の変動解析で疲労を測定するのが今のところ最も確実とされています。
心拍を測定、解析することで交感神経と副交感神経のそれぞれのバロメーターを算出し、
トータルバランスが取れているか?を見ることによって疲労を数値化しています。
ちなみに私もよく使っているのですが、指先で自律神経の状態を測定できるスマホアプリもあります。
自律神経測定アプリ→CARTE
疲労に繋がる4つのストレス
私が新規のお客様にたまに説明させていただく、自律神経の乱れにつながる4つのストレスがあります。
それは
①体の構造によるストレス
②精神的なストレス
③化学的ストレス
④温度湿度によるストレス
です。
①体の構造によるストレスは、骨格の歪みや筋肉の硬さにより、体が左右もしくは前後のバランスが悪くなることです。
例えば、左の骨盤の周りが痛くて動かせないことによって、左側の脇腹や股関節の筋肉が硬くなったとします。
その状態で何年か過ごしていると左側の筋肉は萎縮することによって長さが短くなります。
すると、体は相対的に左に傾いたり、左にねじれていったりします。
また、右半身の筋肉ばかり使うことにより、右の膝に負担がかかりすぎたり、右の肩の筋肉の凝りが強くなったりすることも考えられます。
もう少しわかりやすく話すと、
左側に傾いた椅子に座り続けていると、
どうしても自力で体をまっすぐするために右側の筋肉ばかり使い続けます。
これを続けていると疲れますよね?
この体の構造的なストレスは、やがてあらゆる自律神経症状をもたらし、腰痛や偏頭痛の原因になったりもします。
②精神的なストレスは、それほど説明は必要ないと思います。
人間関係のストレスが原因で、心が常に興奮し続けると胃が痛くなったり、偏頭痛になったり、また気力がなくなって何もできなくなることなどがこれです。
受験勉強や会社でのプレゼンなどのプレッシャーによるストレスで気分が高ぶったり、眠れなくなるのもこれに当たります。
このストレスにより、筋肉が硬くなったりもするので、腰痛になったり、肩こりや頭痛につながる人もたくさんいます。
③化学的ストレスは、公害、薬物、化学物質が体に与えるストレスです。
また、アルコールやタバコのニコチンなども含まれますし、カフェインや糖分を過剰に摂りすぎることや、トランス脂肪酸などの体に悪い油を摂取することも例外ではありません。
寝る前に、コーヒーを飲み過ぎて夜に眠れなくなってしまうことは、化学的ストレスによる自律神経の乱れです。
④温度湿度等のストレスは、名前の通り、暑さ寒さや梅雨の時期のじめじめ感などから来るストレスです。
私たちの体は寒ければ毛穴を閉めて、発汗を抑えますし、
暑い時は毛穴から汗を出して体内の熱を下げるように働きます。
これは自分たちの意思とは関係なく自律神経が自動的にやってくれることですが、実はこの作業も体のエネルギーを使います。
当然ですが、極端に寒かったり極端に暑かったり、また気温の変化が激しい時期などはエネルギーをたくさん使うので、当然体力が消耗し疲労を感じやすくなります。
この体温の調節機能が失われた状態がいわゆる冷えの状態です。
つまり、体が冷えやすい人とは、体内のエネルギーが枯渇している状態といえます。
ひだまりケアで行っている頭蓋仙骨療法は構造的なストレスの調整のみならず、
脳脊髄液の循環を改善させ、組織に栄養を行き届きやすい状態にすることも目的の1つです。
また施術で自律神経に働きかけて深いリラクゼーションをもたらすことで、その他3つのストレスにも対応しております。
疲労は誤魔化しがきく
私たちが疲労を溜め込んでしまう原因の1つとして、疲労は誤魔化しが効くというところにあります。
疲労を誤魔化すとは、疲労をあたかも無かったことにするということです。
どうやって誤魔化す?
例えば、ものすごく疲れている時でも、
「あと1試合勝てば優勝だ、優勝したら欲しいもの何でもプレゼントするよ!」
と言われたら、プレゼントにつられて疲れを感じないことが実際にあると思います。
プレゼント等の成功報酬のみならず、コーヒーやエナジードリンクなどカフェインや糖質でも疲労の誤魔化しは可能です。
疲労感を一時的に忘れることができるのは、大脳が発達した人間が持つ素晴らしい能力ではあります。
一時的に頑張らなければいけない状況や、どうしても責任を果たさなければいけない時、この能力を発揮することによって、アスリートであれば人々を感動させたり、会社員であれば産業の発展をもたらします。
良くないのは、疲労のごまかしが日常的に繰り返されることです。
疲れているのに、カフェインに頼って無理し続ける事は、お金に例えると、お金がなくなるたびに給料の前借りやキャッシングを毎回繰り返していることに他なりません。
誤魔化し続けるとどうなる?
疲労を誤魔化し続けた先には「バーンアウト」が待っています。
本当に大切なイベントが迫っているときには、多少疲れていても、コーヒーやエナジードリンクで乗り切らないといけないケースもあると思います。
しかしそれに慣れてしまい、誤魔化しを繰り返してしまうと体にとって相当な負担になってしまいます。
それほど疲れてもないのに、惰性でコーヒーやエナジードリンクを飲み続けたりすると、それは体にとって単なる嫌がらせみたいなものです。
当然ですが、人間は永久に頑張り続けることはできません。
その先には、何らかの体の不調が待っています。
いわゆるバーンアウトの状態です。
こうなってしまうと、場合によっては医療機関で多くの時間を治療に要してしまいます。
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