自分で行う頭蓋仙骨療法 ⑤頭蓋骨の調整
この記事では、自分で行える頭蓋仙骨療法として、
1人でも安全に行えるセルフエクササイズを5回に分けて紹介しています。
今回は5回目の記事となります。
通常は隔膜の調整や骨盤の調整を実施した後に、頭蓋骨の調整に入っています。
いよいよメインの頭蓋骨の調整です。
頭蓋仙骨療法の効果
頭蓋仙骨療法は心と体に蓄積した緊張を解放し、
個人に本来備わっている自然治癒力やホメオスタシスを高めていく手技療法です。
頭から骨盤を中心に優しく触れていく施術をすることで血液、リンパ、脳脊髄液の流れを整えていきます。
欧米を中心にこれまで世界各地で多くの方が頭蓋仙骨療法の恩恵を受けております。
注意事項
セルフエクササイズの前半の記事でも書きましたが、
注意事項として、脳動脈奇形や動脈瘤などの血管障害がある方、
また極度の不安や極度の鬱状態、激しい頭痛が今現在ある人は個人の判断で実施しない方が良いです。
事故の直後などショックの大きい出来事のあった直後なども避けてください。
これらの場合は専門の医師や治療家の意見を聞いてください。
基本的には施術と施術の間のセルフエクササイズとして、
または頭蓋仙骨療法をちょっとだけ体験してみたいな、
といった人に向けたコンテンツになります。
今回の記事も、添付している動画を先に見ていただいた方がわかりやすいです。
頭蓋骨調整の実践
前頭骨
両手を額に当てて、できるだけ広い接地面を作っていきます。
優しくかつしっかり密着させたら穏やかな心で、内なる声に耳を傾けてください。
触れるところから感じられる温かさや血液の流れ、
前頭骨の内側にある脳内、またそれを満たしている脳脊髄液の流れもイメージしてみてください。
今は全くわからなくても、繰り返していくうちに、
その流れや広がり、そして収縮も知覚されやすくなります。
前頭骨の広がりや縮むリズムを感じることができたら、
しばらくそのリズムをそのまま感じ続けてください。
前頭骨を少し前方向に頭から浮かすイメージをしながら、出来ればわずかに下方(足方向)に誘い込みます。
(前+下方向へ)
ごくわずかな力で前頭骨を頭から外すように持っていくイメージです。
その状態で、しばらくリラックスしていると、膨張と収縮のリズムがゆっくりとした大きな波動になっているかもしれません。
それが感じられたら完璧です。
でも、最初は手を当てて、その心地よさだけを感じるだけでも充分です。
頭頂骨
頭頂骨は脳内の浄化に関わったり、左右の大脳のつながりをサポートするなど重要な役割があります。
まずは、頭頂部に4つの指を優しく当てるようにして触れます。
しばらく指の感覚に集中してください。
「あれ?何も感じられないぞ」
という状態であれば、2〜3回深呼吸すると感覚が戻ってくることがあります。
頭から発せられる熱や血液及びエネルギーの流れに耳を傾けてください。
何も感じられない場合は、少し手の力が強いのかもしれません。
リラックスです。
そのことにより、触れている手が頭頂骨の組織につながりやすくなります。
頭が左右に膨張していく感じや、逆に縮んでいくのを感じてください。
左右の頭頂骨がそれぞれ外側に広がっていくのが感じられたら、
手はしばらくその動きに付き合ってみてください。
頭頂部が広がっていくような開放感が感じられます。頭頂骨が広がる動きはカブトムシが羽を広げたような形のイメージです。
無理に広げるような操作をしてはいけません。
次に、手の位置を変えます。
両側の頭頂部をそれぞれ横から指先でコンタクトしていきます。
位置としては、耳の上端から指3つ分の高さくらいです。
これもリラックスして、指が頭頂骨につながるイメージをしていきます。
その後4つの指で頭上方向に軽く誘い込むように引きます。
あくまで軽く誘い込む程度の力で充分です。
側頭骨
左右の側頭骨は実は別々で存在しているわけではなく、
小脳テントという薄い膜でしっかりとつながっています。
また、その小脳テントは蝶形骨(頭蓋仙骨療法でキーポイントとなる骨)の動きにも大きく関連しているので、側頭骨を緩める事はとても大切な過程になります。
側頭骨の施術で最もよく使われているのは、耳を引っ張るイヤープルという施術になります。
両側の外耳の下3分の1の部分を、人差し指と親指で軽くつまみます。
体の内側に耳を傾けながら、指と耳の組織が一体化するのを感じます。
また、左右の耳(側頭骨)がつながっていること、またそれぞれをつないでいる薄い膜があるんだということをイメージしてみてください。
次にゆっくりと優しい力で左右均等に耳を引きます。
基本は5グラムの強さと言われていますが、数字を意識しすぎると変に力が入ることがあるので、
とにかく心地よく優しい力でやってみてください。
力が強すぎる場合は、体から抵抗を感じます。
「余計に硬くなったぞ」と感じたら要注意です。
また、リリースしやすい方向は、外側、わずかに後方・下方です。
やっていくうちに、耳の通りがさらに解放していく感じや、
側頭部が頭全体から自由なっていく心地よさ、また顎関節の軽さも感じられます。
後頭骨
後頭骨のリリースに関しては隔膜リリースの「頭蓋底のリリース」や、
硬膜管のリリースの部分で概ねカバーできているので、それだけやっても構いません。
後頭骨のみ単独でリリースする場合は、両手を使い、
片方は後頭骨の後ろでしっかりと手のひらを当てて、
もう片方はそのすぐ下の首と頭の付け根の部分に手を当てます。
その他の骨と同じように、手を優しくしっかりと密着させたら、そこから感じられるものに耳を傾けます。
手と頭部の組織が一体化するのを感じたら、後頭骨に当ててる手を上方向に誘い込むように引く力を加えます。
これもなるべく、ごく弱い力の方が心地よくリリースにつながりやすいです。
しばらく行ってみて、この部分に広がりを感じたり、皮膚が柔らかくなっているのを感じたら終了です。
ただ、ストレスを溜め込んでいたり、寝不足だったりすると、この部分はかなり硬くなりやすいです。
特に、スマホの見過ぎなどもここが硬くなる要因になります。
なぜこの部分が硬いと良くないのかと言うと、脳脊髄液がここで滞りやすくなります。
また、頚静脈や迷走神経の出入り口もここなので、とにかく
「大切なものがここで詰まりやすい」
と覚えておいてください。
特にこの硬さを強く感じている場合は、手で優しく触れる時間を長く保ってみてください。
この部分をホットタオルで温めたりするのも良いでしょう。
むやみに操作を加えるより、その方が確実に組織がリリースしていく場合があります。
鼻骨
鼻の骨をリラックスさせる事は、鼻腔を広げることにつながり、嗅覚の向上や副鼻腔炎の軽減につながります。
また、顔の骨全般のリラクゼーションにもなります。
中指と親指で鼻骨をつまみます。
概ね目頭の高さの位置です。
※鼻をつまんでいるわけではありませんのでご注意ください。
人差し指は眉間に触れて指の安定化を図ります。
しばらく指を皮膚に馴染ませて、つながりを感じたら顔から離して浮かせる方向にゆっくり優しく引きます。
厳密なリリース方向は前方向+下(足方)方向です。
ジーンと心地よくなり鼻の通りが良くなっていくのを感じます。
頬骨
顔面の骨は、特にデリケートなので優しいタッチでも充分に反応します。
特に頬骨は外傷等により硬くなりやすく、また顔面骨全般の動きに関わってくるので解放していく事はとても大切です。
両手で顔面に手を当てます。
4つの指で、上顎の部分から頬骨の部分まで優しく触れていきます。
骨の広がりを招くように、ゆっくりと呼吸をしてリラックスしてください。
しばらくしたら、その広がりを誇張するように頭の中でイメージしてください。
頬骨が横に広がっていくイメージです。
とても微細な動きで感じることが難しいのであえてイメージと書きました。
次に、中指と人差し指で頬骨を捉えます。
同じように、しばらく顔面から感じられる内なる声に耳を傾けて、骨の広がりを感じてみてください。
骨を正確に捉えようとすると、どうしても指に力が入ってしまうので、
頬の皮膚に優しく触れながら、あくまで頬骨を捉えるイメージです。
指が馴染んできたら、ゆっくりと頬骨を前方かつ外側に引き離していくイメージです。
とても難しいと思われますが、触っているか触っていないのか位の優しい力でしっかりと骨は反応します。
上顎骨
上顎骨のリラクゼーションと動きの広がりを改善する事は、
頭蓋仙骨療法のキーポイントである蝶形骨の動きの改善に直接的につながります。
それは、上顎骨と蝶形骨は距離的に近い関係にあり、ギアの歯車のような関係だからです。
これから行う調整は親指を口の中に入れます。
行う前にしっかりと手を洗ってください。
口を軽く開けて、片方の親指を口の中に入れ、上顎の中心の部分に当てます。
どれぐらい奥か?と言えば左右に奥歯が位置する深さくらいです。
また、人差し指は鼻の下に置いて、上顎をしっかり安定させます。
その状態で、ゆっくり呼吸をしながら指と上顎が一体化するイメージをします。
そのためには、タッチの圧を優しくする必要があるかもしれません。
目を閉じて、体の内側の声に耳を傾けながら意識を集中します。
指から動きの広がりが感じられたり、熱のようなものが感じられたら、しっかりと組織とつながったサインです。
その状態で、指を前方向かつ下方向に軽く引きます。
ごく軽くの力で操作するので、引っ張るというよりは前下方向に誘い込むイメージです。
上顎の動きが硬くなっていたり、動きが全く感じられない場合は、一度逆方向(後頭部方向へ)に少しだけ圧をかけてみると、スムーズにリリースされることがあります。
顎関節
ストレスがかかると、歯を食いしばり咀嚼筋が過剰に働きます。
それに伴い、顎関節が硬くなり、側頭骨の動きも制限する要因になります。
実際に自律神経失調症の人は、顎関節に何らかの不調を抱えていることが多いです。
4つの指の表面で、下顎に広く優しく触れます。
上側(人差し指側)は、顎関節の近くへ、そして下側(小指側)は顎先の近くにしっかりと触れさせてください。
手首は左右をしっかりと向かいあい触れ合わせて動きを安定させます。
その状態で下顎をゆっくり顎先方向に誘導します。
人によって少し上だったりした方向だったり、心地よく引っ張られる方向が変わるので、
心地よい方向に引き離すようにしてください。
違和感や抵抗がある場合は、方向が少しずれているのかもしれません。
触れている皮膚やそこから感じる筋肉や人体をしっかりとイメージして、タッチの圧力をわずかにコントロールしてください。
やっているうちに、左右どちらかに引っ張られることがあります。
その際は、少しそれに付き合って、引っ張られるがままに、手の動きを優しくコントロールしてみてください。
そうすることで、より自由度が増して新たな動きが始まるかもしれません。
左右どちらにも行きやすくなります。
動くような感じがしない、誘導しても筋肉が抵抗するような感覚がある場合は、
一度、逆方向に(上方向)に誘導してみて、顎関節面を近づけるようにしてみてください。
しばらくすると緩みが感じられます。
1分から3分継続して終了後、より顎の動きが軽くなっているのを確認してみてください。
終わったらしっかり休養
施術が終了したら、少し体がだるかったり、一時的に痛む部分が強調されるかもしれません。
力が抜けやすく、転ぶこともあるかもしれません。
治療家から受ける施術ではなく、セルフエクササイズとして軽いタッチで行うので、そこまで心配は必要ないかもしれませんが、
これらの施術後の一時的な不調を軽減するために、コップに2〜3杯の水を飲んでからしっかりと休むようにしてください。
【施術後の不調を最小限にする大切なステップ】
①施術→②水分摂取→③充分な休養
これが大切なステップです。
このステップを踏むことで、体がスッキリして生まれ変わったような感覚が得られます。
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