足の裏で健康に ~足底腱膜と自律神経~
横隔膜や骨盤隔膜などの”隔膜”をリリースすることで全身の筋膜のつながりをスムーズにしたり、
循環や排泄機能を高めるという記事をこれまでも書きましたが、
実は足の裏にも同じような重要な機能があります。
足の裏には足底腱膜という膜組織があり、オステオパシーでは広義の意味で“足底腱膜は隔膜のひとつ”と考えられています。
通常の頭蓋仙骨療法ではあまりここにアプローチすることはありませんが、一部の腰痛や下半身の循環低下に対してひだまりケアでも施術を実施することがあります。
足底腱膜とは
足底腱膜は足の裏にある厚い筋膜で構成されています。以下の図の歩行や立つ際にも重要な役割を果たします。
特にこの足底腱膜の健康状態は、全身の老廃物排出や自律神経のバランスに大きく影響を与えることがあります。
足底腱膜の役割
足底腱膜は足のアーチを支え、衝撃を吸収する役割を持っています。
しかし、過度な使用やストレス、適切でない靴の着用などにより、足底腱膜が硬くなることがあります。
【足底腱膜が硬くなる要因】
・過度な使用
長時間の立ちっぱなしや歩行、ランニングなどが原因で足底腱膜が硬くなることがあります。
・適切なサポートの不足
適切な靴やサポーターを使用しないと、足底腱膜に過度な負担がかかり、硬くなることがあります。
・運動不足
足の筋肉が使われないと足底腱膜も硬くなることがあります。
・足の形状
足の形状や歩き方によって、足のアーチに変化をきたし足底腱膜に負担がかかりやすくなることがあります。
・病気や怪我
一部の病気や怪我(例えば、糖尿病やニューロパチー、怪我による固定など)が足底腱膜の硬さを引き起こすことがあります。
足底腱膜はアキレス腱やふくらはぎと繋がっており、それを介して全身の筋肉や結合組織に影響を与えます。
だからこの足底腱膜の硬さが、血液循環や老廃物の排出に影響を与えることになり、また体の柔軟性の低下にもつながります。
特に老廃物の排出は、足底腱膜と自律神経を考えるうえで大切です。
老廃物の排泄はリンパ系や血液循環によって行われますが、足底腱膜が硬くなるとこれらの循環系が圧迫され老廃物の排出が滞ります。
これにより、足のむくみや原因不明のだるさ、疲労がなかなか抜けない感覚が生じることがあります。
自律神経との関係
自律神経は、私たちの体内で無意識に機能する神経系で、心拍数、消化、呼吸などの調整を行っています。
足底腱膜の状態が自律神経に影響を与えることがある理由は、足底腱膜の硬さと交感神経、副交感神経の関連にあります。
足底腱膜が硬くなると、繋がりのある他の筋膜や関節の動きが硬くなり体全体が緊張しやすくなります。
これにより、交感神経が優位になるとストレスを感じやすくなります。
一方、足底腱膜がリラックスしていると、副交感神経が優位になり、リラックスした状態を保ちやすくなります。
これにより安定した精神で過ごしやすくなります。
余談ですが、足底腱膜が硬いとツボ押しの効果にも影響が出てきます。
足には全身の反射区が集まっており、特定のポイントを刺激することで、自律神経を調整することができます。
いわゆるツボ押しですね。
このツボ押しも足底腱膜が硬いと効果的に行えない場合があります。
逆に言えば足底腱膜の健康状態が良好であるほど、これらの反射区を効果的に刺激でき、自律神経のバランスが整いやすくなるということです。
足底腱膜を健康に保つには
オステオパシーでは足底腱膜の走行に沿った方向にストレスしてリリースしたり、関連する足根骨の動きを引き出すことで足底腱膜の機能を高める施術をします。
足底腱膜の硬さを和らげるためには、定期的なマッサージやストレッチが効果的です。
これにより、血流が改善され、老廃物の排出が促進されます。
その他、適度な運動で足底腱膜に刺激を与えたり、足湯などで足底腱膜の血行を保つ工夫も大切です。
また、足に合った靴を選ぶことで、足底腱膜への負担を減らし、健康な状態を保つことができます。
まとめ
足底腱膜の健康状態を保つことは、老廃物の効果的な排出と自律神経のバランスに大きく寄与します。
適切なマッサージやストレッチ、正しい靴の選択を心がけることで、足底腱膜の健康を維持し、全身の健康をサポートすることができます。
これにより、日常生活におけるストレス管理やリラクゼーションが促進され、より健康的な生活を送る助けになります。
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