マッスルエナジーテクニック:安全で優れた筋肉緩和法
マッスルエナジーテクニックはこんな人におすすめ
オステオパシーのマッスルエナジーテクニック(MET)の適応例です。
①強い刺激やスラスト(バキバキ整体)が苦手な人
スラスト(いわゆるバキバキ整体)ではなく比較的ソフトな施術を求める方に適しており、リラックス効果も期待できます。
②慢性的な筋緊張や関節の可動域制限がある人
あくまで自分の力を用いた収縮後リラクゼーションを利用して筋肉の柔軟性を向上させたい方。
③姿勢の改善や腰痛の軽減を目指している人
骨盤や仙骨の安定化を図り、身体の重心を整えたい人に適しています。
④血流の促進や冷え性を改善したい人
循環機能を高めることで、体全体の機能維持をサポートできます。
⑤睡眠の質や自律神経のバランスを向上させたい人
リラクゼーション効果で交感神経の過剰な働きを抑え、心身の安定を図ります。
このような特徴を持つ方々にとって、METは安全で効果的な選択肢となり得ます。
マッスルエナジーテクニックとは?
オステオパシーのマッスルエナジーテクニック(MET)は、筋肉の等尺性収縮を利用して筋肉を弛緩させる方法です。
等尺性収縮とは、筋肉の長さを変えずに力を加える収縮のことです。
重いものを持ち上げる時、動かしにくいものを思いっきり押して動かすときに使われる収縮です。
実際に施術では、最大筋力の7割程度の力を用いることが多く、患者さん自身の力を利用して動きの悪い関節を改善していきます。
この収縮後、筋肉は自然に緊張を緩める方向に働きます。
この現象は「等尺性収縮後リラクゼーション」と呼ばれ、
筋肉の緊張を減少させ、柔軟性や関節の可動域を改善する効果があります。
また、拮抗筋(反対の動きをする筋肉)を収縮させることで、目的の筋肉を弛緩させる「相反抑制」という原理も活用されます。
これらの生理学的メカニズムを利用することで、安全かつ効果的に筋肉を緩めることが可能です。
【わかりやすい説明】
股関節を前に曲げます。この時臀筋が固いと十分に前に曲げることができません。
臀筋を最大限ストレッチさせる状態まで股関節を前に曲げた状態から、股関節を後ろに戻すように力を入れてもらいます。
そしてその動きに対して抵抗をかけます。
3秒間抵抗を加え続けて、力を抜くと年金がさらに伸びるようになっており、股関節はさらに前に曲げれるようになっています。
実際には、方向付けや抵抗をかける位置など細かく設定するのですが、大まかな説明としてはこんな感じです。
この施術法を用いて、安全に腰痛が軽減したり、自律神経の改善と睡眠の改善が可能になります。
オステオパシーのマッスルエナジーテクニック(MET)は、幅広い体の部位に適用することで、さまざまな問題を改善する効果があります。
特に、「上部胸椎」「骨盤」「仙骨」「頸椎」などの部位に焦点を当てた施術は、
自律神経との関連が深く、血流の促進や体全体の機能改善を支える重要な役割を果たします。
(これは私自身の経験則も入っております。一通り学ぶのに2年以上かかりました。まだ検査し、施術を進化させている途中ですが、
臨床で経験した中で、特にこの部分へのアプローチが大きな成果を生んでいると感じています)
以下に各部位の特徴と施術のメリットについて解説します。
当院でのマッスルエナジーテクニック症例
上部胸椎の調整
上部胸椎は、呼吸と肩甲骨の動きに密接に関連しています。
この部位の筋肉が緊張している場合、姿勢や呼吸の質が悪化し、血流が滞る原因となります。
また、第4胸椎とその前側にある胸骨は、心膜組織のバランスをとっており、この部分の緊張を和らげる事は、精神的なストレスの軽減にもつながります。
METを使用して上部胸椎周辺の筋肉を緩めることで、呼吸筋の柔軟性を高め、胸部の血流促進、精神的ストレスの低減に寄与します。
これにより酸素供給が改善され、全身の代謝が向上します。
骨盤と仙骨の安定化
骨盤と仙骨は、体の重心を支える重要な部分です。
この領域が不安定になると、腰痛や体の歪みが発生しやすくなります。
また骨盤内臓器のバランスが見られることにより、女性ホルモン、男性ホルモンの不調や尿漏れなどの膀胱の不調につながります。
METを活用して骨盤周辺の筋肉を調整することで、骨盤と仙骨の正しい位置を維持し、負担を軽減します。
これにより、腰痛の緩和が期待できるほか、下肢の血流促進、骨盤内臓器の安定化が図られるため、冷え性や月経障害、膀胱機能障害の予防や改善を助けます。
頸椎の柔軟性の向上
頸椎の筋肉が硬直すると、首の可動域が制限され、脳への血流低下、頭痛や肩こりが引き起こされることがあります。
METによる頸椎周辺の筋肉調整は、頸部の可動域を改善し、血流を促進するため、脳への酸素供給が向上します。
これにより、自律神経のバランスが整い、睡眠の質の向上が期待できます。
血流促進と睡眠の改善
施術により、交感神経の過剰な働きが抑制されると、筋肉の弛緩やリラックス効果、血流の促進を図ることができます。
特に血流の促進は体全体の機能を維持するために不可欠です。
またMETによる筋肉の緊張緩和は、血管の圧迫を減少させ、循環系が効率的に働くようになります。
この効果は、体内の老廃物除去や細胞の再生を助けるだけでなく、
身体全体のリラックス感を高めるため、睡眠の質にも大きく貢献します。
総合的な健康への影響
これらの部位へのMET施術を組み合わせることで、筋肉の柔軟性や血流促進だけでなく、
姿勢の改善や慢性的な痛みの軽減といった総合的な効果が期待できます。
自律神経を整えることで、ストレスの軽減や心身の安定感が向上し、
特に深い睡眠を得るための理想的な状態を作り出します。
安全かつ効果的なMETの利用は、現代の忙しい生活の中で求められる体のケア方法として非常に有益です。
また、「スラスト」(いわゆるバキバキ整体)が苦手な方にもこの施術は非常に適しています。
※私自身はスラスト(バキバキ整体)は特に反対派ではありません。もちろん中には危険なものもありますが、正しい知識を持って適切な力で実施できれば素晴らしいテクニックだと考えています。ただひだまりケアでは極力ソフト施術を心がけていますので実施しておりません。
METは力強い矯正動作を伴わないため、患者さん自身が筋肉を収縮させるだけで効果が得られる安全でソフトな方法です。
そのため、強い刺激が苦手な人や、リラクゼーションを求める人にとっても非常に有効な選択肢となります。
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