座る時間が長いと自律神経に悪影響を及ぼす理由
現代社会では、デスクワークやスマートフォンの使用時間が増え、長時間座り続けることが当たり前になっています。
しかし、座る時間が長いことは自律神経のバランスを崩し、健康に悪影響を及ぼすことが分かっています。
ここでは、その理由について詳しく解説します。
座る時間が長いと自律神経に悪影響を及ぼす理由
1. 血流の低下と自律神経の乱れ
長時間座り続けると、血流が滞りやすくなり、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることがあります。
特に、座位姿勢では下半身の血流が悪くなり、血液が滞ることでむくみや冷えが生じやすくなります。
血流が悪くなると、脳への酸素供給も低下し、集中力の低下や倦怠感を引き起こします。
また、血流の悪化は自律神経の調整機能を低下させるため、ストレス耐性が弱まり、イライラしやすくなることもあります。
これが長期間続くと、慢性的な自律神経失調症につながる可能性があります。
2. 姿勢の悪化による神経圧迫
長時間座っていると、猫背や前かがみの姿勢になりやすく、首や肩の筋肉が緊張します。
この姿勢の悪化は、頸椎や背骨の神経を圧迫し、自律神経の働きを妨げる原因となります。
特に、首の付け根(頸椎)には自律神経の重要な調整機能があるため、ここが圧迫されると頭痛やめまい、耳鳴りなどの症状が現れることがあります。
また、姿勢の悪化は呼吸の浅さにもつながり、酸素供給が不足することで疲労感が増す原因にもなります。
3. 交感神経の過剰な活性化
座り続けることで、交感神経が過剰に働き、副交感神経の働きが低下することがあります。
交感神経が過剰に活性化すると、以下のような症状が現れることがあります。
・心拍数の増加(動悸や息苦しさ)
・血圧の上昇(高血圧のリスク)
・ストレスホルモンの増加(不安感や緊張感)
・消化機能の低下(胃痛や便秘)
交感神経が過剰に働くと、リラックスするための副交感神経の働きが弱まり、夜になっても眠れない、寝ても疲れが取れないといった睡眠障害につながることがあります。
4. 運動不足による自律神経の低下
座る時間が長いと、運動量が減り、筋肉の活動が低下します。
特に、ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、血液を循環させる重要な役割を持っています。
しかし、座り続けることでふくらはぎの筋肉が使われなくなると、血流が悪化し、自律神経の調整機能が低下します。
また、運動不足はセロトニン(幸せホルモン)の分泌を減少させるため、気分が落ち込みやすくなり、うつ症状や不安感を引き起こすことがあります。
5. 長時間座ることがメンタルヘルスに与える影響
座り続けることは、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼします。
研究によると、1日12時間以上座っている人は、6時間未満の人と比べてメンタルヘルスの悪化率が約3倍になることが分かっています。
座りすぎによるメンタルへの影響として、以下のような症状が報告されています。
・ストレスの増加
・気分の落ち込み
・集中力の低下
・不安感の増加
・睡眠の質の低下
特に、デスクワーク中心の生活では、人との交流が減ることで孤独感が増し、精神的なストレスが蓄積しやすくなるため、意識的に体を動かすことが重要です。
※ここで仏教に詳しい方は、
「ブッダは菩提樹の下で49日間座り続けて悟りを開いたのに長時間の座位がメンタルに悪いわけないだろ!」
と反論したくなるかもしれません。
まあ、古代仏教の修行の重要さを伝える象徴的なエピソードと、現代の日常生活の習慣の話は分けて考えてもらえると嬉しいです。
6. 著名人も警鐘を鳴らす「座ることは新たな喫煙」
近年、座りすぎの健康リスクについて、多くの著名人が警鐘を鳴らしています。
特に、AppleのCEOであるティム・クック氏は、
「座ることは次の時代のガンを生み出す」
と発言し、Apple本社の従業員全員にスタンディング・デスクを導入しました。
また、アメリカの研究者ジェームズ・A・レヴィーン氏は、
「座ることは新たな喫煙である」
と述べ、座りすぎが健康に及ぼす影響を強調しています。
彼の研究によると、座り続けることは心疾患や糖尿病のリスクを高めるだけでなく、寿命を縮める可能性があるとされています。
さらに、オーストラリアのビクトリア大学の調査では、1日7時間以上座っている人は、4時間以下の人に比べてうつ症状の発症率が47%高いことが報告されています。
このような研究結果を受け、世界的な企業や健康専門家が座る時間を減らす取り組みを推奨しています。
※このコラムを座って読んでいる人はそろそろ立ちたくなってきましたよね?
座りすぎを防ぐための対策
座る時間を減らし、自律神経のバランスを整えるためには、以下のような対策が有効です。
・30分に1回は立ち上がる(軽いストレッチや歩行を取り入れる)
・昇降式デスクを活用する(立って仕事をする時間を増やす)
・深呼吸を意識する(酸素供給を増やし、自律神経を整える)
・適度な運動を取り入れる(ウォーキングや軽い筋トレを習慣化)
・座る姿勢を改善する(背筋を伸ばし、正しい姿勢を意識する)
座りすぎは、自律神経の乱れだけでなく、心身の健康全体に影響を及ぼすため、日常生活の中で意識的に動くことが大切です。
座る時間を減らし、適度な運動を取り入れることで、健康的な生活を維持しましょう。
まとめ
座り続けることは、自律神経の乱れを引き起こし、健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
長時間座ることで血流が低下し、交感神経が過剰に活性化される結果、ストレスや不調が増加します。
また、悪い姿勢が神経を圧迫し、頭痛やめまい、睡眠障害を引き起こす可能性もあります。
さらに、運動不足による筋肉の低下や、メンタルヘルスの悪化も座りすぎによる問題として指摘されています。
「座ることは新たな喫煙」と言われるほど、そのリスクは深刻です。
健康を守るためには、30分ごとに立ち上がる、昇降式デスクを活用する、深呼吸や軽い運動を取り入れるなど、日常生活の中で意識的に動くことが重要です。
座る時間を減らし、適度に身体を動かすことで、自律神経のバランスを整え、心身ともに健やかな生活を送りましょう。
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